大切にしたいお客さんのことは、心をこめて“友人”と呼びたい。
信頼し、高めあうことで、いいものがうまれると信じたいから。
次は、どの“山”を目指して歩こう。どんな景色を、一緒に見よう。
いい仕事ってなんだろう? ウェブもグラフィックも、そのほか+αのご提案だって、せっかくやるなら突き詰めたい! と思って取り組む僕らだけど。新規事業に挑戦するお客さんから「もう一度」モンブランと仕事がしたいと相談をもらえるのは、やっぱりとても光栄なことだ。「建設業って超サービス業」をことばの北極星に掲げ、ロゴ&ウェブサイトのリニューアル、会社のPR隊であるオリジナルキャラクター「えむぜっくん」の開発などのトータルブランディングをおこなった第1フェーズ。そして2023年からは第2フェーズがスタート。“アトツギ”としての決意を新たにまい進する佳奈恵さん(M・ZEC)が、自ら立ち上げたホテル事業「tateya」プロジェクトの手伝いがはじまった。モンブランチームはアイデアを、佳奈恵さんは情熱を、たっぷり持ちよって。つづく関係性を幸福に思いながら、いつもどおり精一杯やるのみ。なのです。
Team Member
- ディレクター
- 竹田京司(モンブラン)
- プランナー・エディター・コピーライター
- 福永あずさ
- フォトグラファー
- 穴見春樹・マエダモトツグ.(BICOLUT)
- キャラクターデザイナー
- 平野由記(ウフラボ)
- ロゴデザイン
- 岡崎友則
- ウェブデザイン
- 松原史典
- コーディング
- 江藤覚(モンブラン)
Client
M-ZEC
中嶋 佳奈恵さん
Nakashima
Kanae
M・ZECの佳奈恵さんと、熊本の街なかへ。
chapter. 01
01顔を向かい合わせて関係性を築く。
やるべきことが見えてくる。
- 聞き手/福永あずさ
- 撮影/穴見春樹
佳奈恵さん
モンブランさんに相談したときは、うちの「住宅部門を訴求する」サイトはあったものの、何となくもう今のイメージと違うよねとなっていて。ホームページはあったけれど、更新もできていなくて。会社の取り組みとか想いを紹介できていないよねという話から、リニューアルに踏み切ろうとなったんですよね。
竹田
そうでした。まずは僕が中津までお話を聞きに行って、ロゴを担当したデザイナーの岡崎さんと、コピーライターの福永さんと3人で初回のヒアリングを行ったんでしたね。
01顔を向かい合わせて関係性を築く。
やるべきことが見えてくる。
そうです。2021年のコロナ真っただなかの頃だったにも関わらず、zoomじゃなくて「直接お話を聴きに行ってもいいですか?」とみなさんで来てくれたことにまずびっくりしました。
あれ、すごく嬉しかったんです。
竹田
県外のお客さんが多いので、最近はzoomでプロジェクトを進めることも多いんですが、なるべく「会って話す」ことを大事にしています。エムゼックさんの場合も、直感的に最初は「会ってお話を聞きたいな」というのがあったんだと思います。
佳奈恵さん
そのとき私はすでに会社の調整役とか広報みたいなポジショニングで。大分県のほかの建設会社の女性社長さんたちとお会いする機会も増えていました。そんななかで、私が女性であることもあるけど、「女性が関わりやすい建設会社にしていきたい」という思いが根っこにあって。だから採用だったり、一緒に働く社員さんに、会社の目指す方向性や想いをちゃんとビジュアルやことばで伝えていく「インナーブランディング」をしっかりしていきたいって思ったんです。
竹田
娘である佳奈恵さんが、本当に社長(父)の想いを過不足なく代弁してくれて、それが非常にやりやすかった! あと僕らとの会話の端々でも「いったん受け入れる」ということを大事にされている方だなあと実感しました。サイトをつくることによって受注が増えるといいな、とか粒揃いな問い合わせがくるといいな、とか色々期待はあると思うんですが。「エムゼックさんで働く人たちが、もっと会社の理解度が深まったり、自分の仕事を誇れるようになったらいいですよね」という言葉にとても共感いただいたことを覚えています。
佳奈恵さん
うんうん。覚えていますね。私たちは建設業界で働いていて、竹田さんたちとは業種が違うじゃないですか。だから、どこまで自分たちのことをうまく伝えられるだろう? ってすこし不安だったんです。でもみなさんとお仕事をして、まず「目の前の人の想いに共感したい」という意志を感じました。特に、最初に中津に来ていただいた3人(竹田・岡崎・福永)とは、人としても絶対相性が合う! って思っちゃったんですよ(笑)。
竹田&福永
笑
何といっても初回打ち合わせのあとに受けた瀧家からのおもてなし(笑)!
あれが本当に大きかったんですよね。
福永
一緒にご飯を食べて、いろんな話をして。ふかぼっていくと、オーナー家族である3人が、3者3様にサービス業出身というルーツがあって。この「おもてなしのDNA」こそエムゼックのカラーだと。それをチーム3人がびしびし感じて、ロゴや企画にしっかり落とし込みました。なにかひとつことばをつくれたら、一気にサイト構成が見えてくるなという感覚もありました。
竹田
業種が同じだと、みなさんだいたい似たような仕事をされているから。差別化というか、元々もってる色をどんな風に出していくのかっていうのは苦心するところで。
福永
そうなんですよね。そのなかで、瀧家の誇りとか地域で守ってきたものという「信頼」のパート部分はブラさずに、変化球というか。やっぱりちょっとしたユニークさとか違和感をもって、「あたらしい建設業を中津から発進していく」という宣言をご提案したいと思ったんです。
M・ZECの佳奈恵さんと、熊本の街なかへ。
chapter. 02
02宣言を言語化して、
ひとりに響く「旗」を掲げる。
最初は、父としてはここまで言い切って大丈夫かな…
という不安も若干はあったみたいなんです。
やっぱりお客さんに対して絶対嘘はつけないので。
佳奈恵さん
そこは世代のギャップもあるとは思うんですが、私としては「超サービス業」という言葉を皮切りに、外への発信が格段にしやすくなったんですね。あたらしく入ってくれた広報のスタッフも、サイト内の家族3人の対談を読んで安心感を感じたと話してくれて。だから、想像以上のものをつくってくださったという印象がありますね。
竹田
「超サービス業」を表現するためのビジュアルは結構トンガっているんですが、やっぱり何かを変えようとするときって、僕らも思い切りバットを振るというか。だから提案のとき、「これなんです!」って言われたときは嬉しかったなあ。
福永
もともと「建設業って究極のサービス業なんだよ」という瀧社長のことばをギュッと編み直したもので。でも、このたった6文字のことばで、なにかが動きはじめる感じがした。サイトを超えてことばが生きていて、本当に仕事冥利に尽きるなと思いました。
佳奈恵さん
ことばとしてはとてもシンプルなんだけど、だからこそ刺さったというか、やっぱり使いやすくて。何より、お2人には最初から信頼感がすごくあるので、「これでいきたい!」となった気がします(笑)。
いまね、会社の看板もリニューアルされて。。
あれ大きくてインパクト大ですね。
佳奈恵さん
そうなんです! このコーポレートカラーもお気に入りです。うちの広報のスタッフはもともと建築会社にいた子なんですが、この色っていい意味で建設業らしくないから、絶対目を引きますねって言ってくれて。あと地元の高校に授業に行ったときに、「ウェブサイトがすごくいいので会ってみたかったんです!」って異業種の方に言ってもらえたり、全国の“アトツギ”の集まりのときに「こんな会社だったら働きたいです」って声をかけてもらったり。
佳奈恵さんは前に「発信が苦手で…」って
おっしゃっていたんですが、2023年からは念願の「tateya」プロジェクトもスタートしましたし、以前より堂々と外に出ていらっしゃるような気がしていて、うれしいです。
佳奈恵さん
そうかもしれない。あといま「えむぜっくん」も大活躍で! Xでの発信も「えむぜっくん」に擬態してがんばっています。ハッピも、グッズも、色々と展開していますし、この前インターンに来てくれた女子高生に、「えむぜっくんがめっちゃかわいいからウェブサイトもすみずみまで読みました!」って言われて、こんな効果もあるのかと。
福永
それはうれしい…。かわいい顔して、キャラクター設計はしっかりしてありますからね(笑)。あとお2人に「関係性」の話をお聞きしたいんですが、県が離れているので、ずっと連絡をとり続けているわけではないじゃないですか。
竹田
うん、そうですね。僕がそんなにベタベタする方ではないので(笑)。でも離れていても、大事な存在というか。ずっと想っているというか。だから、今回みたいに佳奈恵さんが新事業を立ち上げることもめちゃくちゃ嬉しいし、僕らにまた相談をしてくれるのってすごくグッとくるんですよ。
うちは住宅をやっているので、「便りがないのは元気な証拠」みたいなところもあって。
「大事な時にご相談する」というスタンスは、私とモンブランさん近いかもしれないですね。
ウェブサイト完成をきっかけに、いろんなことが派生でひろがっていって、
経営陣の想いが統一されていった感じがあります。
佳奈恵さん
それを社員に全部伝えられているかというと、もちろん100%ではないんですけど。でもいまの仲間たちは、会社のことをわかってくれている人がのこってくれているという感覚がありますね。なので、会社の状態がいますごくいいなと思うんです。
竹田
それはいいですね。
佳奈恵さん
そう、だからサイトと+αのものができたことによって、芯がひとつ通ったなって感覚がすごくあります。土木科の女子生徒がインターンに来てくれるようになったりもして。一歩一歩ですけど「女性が活躍する建設会社」というイメージ訴求にもつながっているのかなと思っています。採用動画もとても好評です。
竹田
あらためて見るとサイトのコンテンツはもりだくさんで、設定とかもしっかりつくりこんでいてカロリー高いんだけど。キービジュアルの穴見くんの写真がドキュメントだから、やっぱりちょっと抜けが出るんだよね。
穴見
ウェブサイトって、企業の看板だと思っていて。めちゃくちゃ大事じゃないですか。だからその写真を撮らせてもらうってのはやっぱり緊張しますね。
竹田
色んな技術の進化とか流行りとかあるけれど、僕らとしては会社概要とサービスだけではない「コンテンツ」をつくりたい。そのためにはお客さんのことを好きになりたい。全部がオーダーメードですからね。
本当に、ブランディングってそういうことなのかなって思うんですよね。
ただウェブサイトをつくるだけじゃなくて、それをつくる過程で生まれるもの。整理されて、信頼がうまれて、自分たちの芯に落とし込まれていく感覚。
竹田
そうなんですよ。「りんごつくって」って言われて「やっぱりメロンだと思うんですよ〜」って話を僕らはしがち(笑)。でもそれはもちろん、信頼関係のうえでのご提案で。
福永
ウェブサイト…制作期間長いですからね。生い立ちとかまで聞いちゃうから。もう、他人とは思えない!
穴見
不思議ですよね。これだけSNSがあって、もうウェブサイトなんてわざわざつくらなくてもいいのでは? と思うのに。わざわざサイトを訪ねて開いて、そこで表現されていることばはスッと入ってくるんですよね、なぜか。その方たちが話す本当のことばって感じがする。SNSではどうしても、ひとつひとつの発信が「大きなマンションの住人の声」という感じに見えてしまって人と比べちゃうけど。ウェブサイトって、わざわざその人の家に「お邪魔します」って入っていくイメージなので。その方が言ってることに嘘がないって思える。
竹田
そうかもしれない。
穴見くん、
おもしろい表現するね(笑)!